media arts lab + SCU

論文主体

香りに対する関心を高めるゲームの提案 香りの感じ方を共有することについての研究を踏まえて

研究の概要

この研究の目的は、香りへの関心をより高めてもらう新しい方法を探求することです。
そのために、日常生活であまり行わない嗅覚の使い方を体験してもらうのが良いのではないかと考えました。そこで私が注目したのが香道です。
香道とは、一定の作法のもとに香木を焚き、香りを嗅ぐ行為を通して、古典的な詩歌や故事、情景を鑑賞する、日本独自の芸道です。この香道での嗅覚の使い方は、香りを嗅ぐことを通して、その香りと直接関係のない古典文学等の世界観を想像したりするという点で、世界でも他に類を見ない珍しいものとされています。
しかし、この嗅覚の使い方を体験するためには古典文学等に対する高い教養が必要です。その上、道具はどこにでも売っているものではないため、気軽に体験することができません。
そこで、香道ではない別の方法により、この珍しいとされている嗅覚の使い方を体験できる方法を考えることにしました。
そうして、いくつかの実験を行い、ボードゲームの案をテストプレイを繰り返してブラッシュアップしていくことで完成したのが、『くんくんクンクン』というボードゲームです。

提案物について

最終的には、香りを嗅ぐことを通して、香りと模様のイメージを結びつけて他者とその感じ方や結びつけ方を共有する『くんくんクンクン』というボードゲームが完成しました。
推奨人数は2〜8人です。香りストーンと呼ばれる、石膏でできたアロマストーンに、エッセンシャルオイルで香りづけして使います。
ゲームには2つのSTEPがあり、STEP1では、プレイヤー同士の香りのイメージと模様のイメージの結びつけ方について共有し合います。STEP2では、STEP1の結果を参考に、親となるプレイヤーがある模様に対してどの香りを選ぶのかを予想します。

展示風景の記録