media arts lab + SCU

制作主体

木漏れ日の魅力とおまじないの力の可能性 オリジナルブランド「COMORE」の提案を通じて

研究の背景

 「木漏れ日」と「おまじない」には、それぞれ人々に愛され、親しまれてきた魅力があります。私は、それぞれが持つ魅力の正体を明らかにすると共に、双方の魅力の相乗効果による新たな価値創造の可能性を体現した、人々の暮らしを豊かにするブランドを提案することにしました。

調査の内容

 まず、木漏れ日が登場する過去の文学・美術作品を調査し、木漏れ日の魅力を探っていきました。その結果、
「人間が日常で抱く様々な気持ちを受け止め、寄り添うことができること」
が木漏れ日の魅力だとわかりました。

 また、世界や日本に伝わるおまじないの事例の調査から、おまじないの魅力の正体を考えていきました。その結果、
「おまじない行為をおこなうことによって、自身の心を強く持つことができるようになること」
がおまじないの魅力であると明らかになりました。

 人間の多様な気持ちの受け手である「木漏れ日」と、人間が理想実現のために自身の心を強く持つための手段である「おまじない」。
もしも、人間が想いや願いを、おまじないという手段を通じて木漏れ日に投げかけることができたら、人間はおまじないによる心の安定を得られると共に、木漏れ日に自身の願いに寄り添ってもらえるのではないか。
調査結果から、私はそのような可能性を見出しました。

 その可能性を実現させるために私が提案するのが、オリジナルブランド「COMORE(こもあ)」です。

「COMORE」について

 COMOREは、『あなたの暮らしと心に寄り添う、木漏れ日によるおまじないブランド』をコンセプトとしています。

 COMOREが目指すのは、
・自然現象である木漏れ日を、人々の暮らしの中に取り入れること
・木漏れ日とおまじないの掛け合わせによって創造される新たな価値を、本ブランドを通して人々に提供し、人々の暮らしを今よりも豊かにすること
の二つです。

 COMOREのプロダクトは、木漏れ日の魅力要素を取り入れた全5種で、森林の香りがするカラフルな紙が挟み込まれており、人々は、プロダクトから木漏れ日を感じることはもちろん、香りや手触りを楽しんだり、紙に願いや想いを書くといったおまじないを込めることもできます。

 手で触ることでゆらゆらと揺れたり、風に呼応してなびいたり。暮らしの中に豊かさをプラスしてくれるブランドになるよう、考えました。

 また、プロダクトの他にも、ブランドの世界観をより多くの人々に伝えることを目的とした、LOOK BOOKも制作しました。

 表紙と裏表紙との間に蛇腹の形でページが収められたこのLOOK BOOKは、大きな写真と必要最低限の文字で構成することで、COMOREの魅力をビジュアル的にわかりやすく表現しています。

添付資料

検証と今後の展望

 複数名を対象に、実際にCOMOREを暮らしの中に置いてもらい、その感想を聞くという検証をおこないました。

 検証の結果、COMOREから木漏れ日の存在を感じることができたことや、木漏れ日がおまじないを通して想いや願いを受け取ってくれたように感じたこと、もっと木漏れ日を感じれるようにする工夫、おまじないをしやすくする工夫が必要であることなどが確かめられました。

おわりに

 この研究を通して、木漏れ日とおまじないの魅力を明らかにすることができたと言えます。また、木漏れ日とおまじないの相乗効果による新たな価値創造の可能性を見出し、それを体現するためのブランドの提案もすることができました。

 「COMORE」の提案から、木漏れ日の魅力とおまじないの力の可能性を提示することができたのではないでしょうか。

展示風景の記録