卒業研究の背景
SNSのように、匿名で場所や時間の制約がなく、他人となにかしらの関係を持つことができるような場では、人はより自身の欲に従順になると感じています。
誹謗中傷や詐欺、スパムメッセージ等、自身の欲を満たすために、他の存在を侵害することを度外視した行動がよく見られるのです。
人は、社会を形成し、その社会の治安を維持するために法を中心とした様々な決まりとそれに違反した場合の罰則を設定しています。
この罰則を恐れ、時には自身の欲を抑えて我慢するのです。
SNSのような世界では、現実世界に比べ、その自身が罰則を受けるという意識が低下しているため、欲に忠実な行動が罷り通っているのではないでしょうか。
つまり、人は社会やその社会の治安を守る法等の決まり、そしてその決まりを破ったことによる罰則によって自身の欲を抑えているだけであり、本質的には人も野生動物と同じように自身の欲に従った行動をとる生き物なのです。
しかし、我々人には知があります。
私は、人が欲に従った行動をとることによって他の存在を侵害することは、生きていく上で逃れることができないことではあるが、知を持つ我々人は、こうした事実を自覚し、目を向けながら生きていかなければならないと感じています。
アート作品『Human Sticker Bomb』の全身写真 アート作品『Human Sticker Bomb』の接写写真 アート作品『Human Sticker Bomb』の接写写真 アート作品『Human Sticker Bomb』の接写写真 アート作品『Human Sticker Bomb』の接写写真 アート作品『Human Sticker Bomb』の接写写真
ステッカーボムとは
ステッカーボムとは、ステッカーを複数枚重ねて貼り付ける手法及び、貼り付けた状態のことです。
私が作品の表現手法としてステッカーボムを採用したのには、オーストリアの心理学者及び精神医学者のジークムント・フロイトが提唱した「構造論」という考え方から着想を得ています。
「構造論」では、人の心が「イド」、「自我」、「超自我」の三層に分かれているとされています。
このうち、「イド」には無秩序に欲求が存在し、その欲求に従った行動をとるかどうかを「自我」が判断しています。
この「イド」に存在する無秩序な欲求と、ステッカーボムが生み出す雑然としたビジュアルに表現の親和性を感じ、今回ステッカーボムという表現手法を採用しています。
ステッカーボムと人体について
本研究制作で私が制作した作品『Human Sticker Bomb』は、私がデザインしたステッカーと協力者計32名がデザインしたステッカーを人体にステッカーボムを施したものとなっています。
欲を象徴するデザインのステッカーで人そのものを覆うことで、人が欲に塗れているということを、欲が人を侵食するイメージで制作しています。
作品の右半身下部から上に向かって私が制作したステッカーが貼られており、左半身上部から下に向かって協力者が制作したステッカーが貼られています。
私が制作したステッカーを自分自身が持つ欲、協力者のステッカーを他の存在の持つ自身を侵害する欲として、「人が欲に塗れ汚染されている姿」と「欲に従うことで、他の存在を侵害する姿」を具現化しています。
人体にステッカーボムを施すにあたり、ステッカーは全てタトゥーシールとして出力しています。
人体という素材を用いているのに人ではない別の質感に見える点や、外形は人の形をくっきりと残している点、人としてのグロテスクさやエロティックさが感じられない点はこの作品の魅力とも言えるでしょう。
「嫉妬」のステッカーデザイン 「嫉妬」のステッカーデザイン 「嫉妬」のステッカーデザイン 「嫉妬」のステッカーデザイン 「嫉妬」のステッカーデザイン 「嫉妬」のステッカーデザイン 「嫉妬」のステッカーデザイン 「嫉妬」のステッカーデザイン 「嫉妬」のステッカーデザイン 「嫉妬」のステッカーデザイン 「傲慢」のステッカーデザイン 「傲慢」のステッカーデザイン 「傲慢」のステッカーデザイン 「傲慢」のステッカーデザイン 「傲慢」のステッカーデザイン 「傲慢」のステッカーデザイン 「傲慢」のステッカーデザイン 「傲慢」のステッカーデザイン 「傲慢」のステッカーデザイン 「傲慢」のステッカーデザイン 「怠惰」のステッカーデザイン 「怠惰」のステッカーデザイン 「怠惰」のステッカーデザイン 「怠惰」のステッカーデザイン 「怠惰」のステッカーデザイン 「怠惰」のステッカーデザイン 「怠惰」のステッカーデザイン 「怠惰」のステッカーデザイン 「怠惰」のステッカーデザイン 「怠惰」のステッカーデザイン 「憤怒」のステッカーデザイン 「憤怒」のステッカーデザイン 「憤怒」のステッカーデザイン 「憤怒」のステッカーデザイン 「憤怒」のステッカーデザイン 「憤怒」のステッカーデザイン 「憤怒」のステッカーデザイン 「憤怒」のステッカーデザイン 「憤怒」のステッカーデザイン 「憤怒」のステッカーデザイン 「強欲」のステッカーデザイン 「強欲」のステッカーデザイン 「強欲」のステッカーデザイン 「強欲」のステッカーデザイン 「強欲」のステッカーデザイン 「強欲」のステッカーデザイン 「強欲」のステッカーデザイン 「強欲」のステッカーデザイン 「強欲」のステッカーデザイン 「強欲」のステッカーデザイン 「色欲」のステッカーデザイン 「色欲」のステッカーデザイン 「色欲」のステッカーデザイン 「色欲」のステッカーデザイン 「色欲」のステッカーデザイン 「色欲」のステッカーデザイン 「色欲」のステッカーデザイン 「色欲」のステッカーデザイン 「色欲」のステッカーデザイン 「色欲」のステッカーデザイン 「暴食」のステッカーデザイン 「暴食」のステッカーデザイン 「暴食」のステッカーデザイン 「暴食」のステッカーデザイン 「暴食」のステッカーデザイン 「暴食」のステッカーデザイン 「暴食」のステッカーデザイン 「暴食」のステッカーデザイン 「暴食」のステッカーデザイン 「暴食」のステッカーデザイン
「嫉妬」のキャラクターデザイン 「傲慢」のキャラクターデザイン 「怠惰」のキャラクターデザイン 「憤怒」のキャラクターデザイン 「強欲」のキャラクターデザイン 「色欲」のキャラクターデザイン 「暴食」のキャラクターデザイン
ステッカーデザインについて
ステッカーデザインは私のデザインと協力者のデザイン共に、全て「七つの大罪」という考え方を基盤に制作されています。
「七つの大罪」とは、人を罪に導く可能性があると見做されてきた欲や感情を指す、キリスト教西方教会の用語で、罪が重たいものから「嫉妬」、「傲慢」、「怠惰」、「憤怒」、「強欲」、「色欲」、「暴食」があります。
また、それぞれの欲にメインカラーが設定されていて、私のデザインと協力者のデザイン共に、その色を元に制作されています。
各欲のメインカラーは
「嫉妬」→グリーン
「傲慢」→パープル
「怠惰」→ブルー
「憤怒」→レッド
「強欲」→イエロー
「色欲」→ピンク
「暴食」→オレンジ
となっています。
色の種類は色彩心理学やカラーセラピーの観点から複合的に行っています。
さらに、私のステッカーデザインには、各欲ごとに設定したキャラクターが登場しています。
このキャラクターデザインも、設定したメインカラーを基準としたカラーリングとなっています。
このような色やキャラクターの設定には、作品の鑑賞者が作品の提示する堅苦しい問題について思考するハードルを下げる狙いがあります。
展示風景の記録
卒業研究の展示写真 卒業研究の展示写真